認定特定非営利活動法人ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン

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ペットと防災

令和6年8月8日の宮崎県日向灘を震源とするマグニチュード 7.1の地震の発生をうけ、気象庁は南海トラフ地震臨時情報を発表しました。日本は災害大国であり、「もしも」が起きた時への備えが大切になります。そして、ペットに関するちょっとした知識と備えがペットの防災につながります。大切な家族の一員であるペットを守ることができるのは飼い主である皆様です。今日からできる大切なペットを守る準備をしましょう。

既にご存知な情報かもしれませんが、防災意識が高まっている中、ペットたちの暮らしについても見直していただく機会になれば幸いです。

1.首輪の確認

災害時には何が起こるかわかりません。どんなにお利口さんの犬でも、油断した時や思わぬ場面・災害時などで外に飛び出してしまうこともあります。そして、事故や迷子の原因となりとても危険です。

迷子犬になる原因の多くは自宅からの飛び出しです。迷い犬の多くは首輪をつけていません。「毛が痛む」「跡がつく」「嫌がる」「自由にしてやりたい」などの理由で、家の中で首輪を外したり、ハーネスだけでお散歩に出かけたりする飼い主さんもいます。首輪があれば逃げてしまったときにすぐ捕まえることができ、目印にもなるため重要な目撃情報にも繋がります。首輪の装着の徹底をお願いします。

2.迷子札・マイクロチップの装着

首輪の装着ができた後は、犬・猫の首輪に迷子札がついているか確認しましょう。名前、住所、電話番号の変更がないかもあわせて確認を行ってください。話せない動物たちが唯一、家の場所を伝えることのできる命綱である迷子札。万が一に備えて、首輪とセットにしてつけてあげましょう。迷子札を噛んでしまう犬は首輪に直接連絡先を記載しましょう。連絡先が記載されていることで、愛犬・猫が迷子になってしまっても戻ってきやすくなります。

迷子札と合わせて、備えていただきたいのが、マイクロチップ。首輪が外れてしまうなど不測の事態に遭遇してもマイクロチップを装着していることによって、飼い主の情報が分かります。 アメリカ獣医師会によると、マイクロチップを装着している犬は、未装着の犬と比べ、 迷い犬になってしまった際、飼い主の元に戻ってこられる確率は2倍以上、猫の場合、さらに高い確率になるそうです。

マイクロチップに関する情報は、 環境省の「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく犬と猫のマイクロチップ情報登録」のページからご覧ください。

3.しつけ

人と犬が共に楽しく健康的に暮らすために「しつけ」は必要不可欠です。しつけとは、オスワリ・マテ・フセを教えるだけではありません。「犬が人間社会で暮らしていくためのルールを学ぶもの」です。もしもの事態が起きた時の避難所生活は、人にとっても犬にとってもストレスのかかることが予想されます。

・他人に危害を加える  
・無駄吠え  
・ペットのトイレ
などの行動による他の避難者とのトラブルを避けるために日ごろからのしつけが重要になります。

・ゲージで落ち着いて過ごすことができる
・ペットシーツでのトイレができる
・「おいで」の呼び戻しができる

これらの「できる」がとても大切になってきます。最低限のしつけを日ごろから心がけましょう。 PFLJでは、愛犬マナー教室(しつけ教室)を開催しています。開催に関する詳細はこちらからご確認ください。過去の教室の様子は #PFLJ愛犬マナー教室 からご覧いただけます。

4.健康管理

飼い主である被災者の心のケアからも、災害時のペットの同行避難が推奨されています。 ペットと同行避難がスムーズにできるよう、避難場所の確認はもちろん、日ごろからのペットの健康管理が大切になってきます。

抑えておきたい健康管理ポイント

【狂犬病予防注射(犬のみ)】
法律によって年1回の接種が義務付けられている狂犬病予防注射。 接種が義務付けられていますが、全国における注射率は70.9%にとどまっています。PFLJの拠点である兵庫県では、残念ながら全国平均を下回る69.0%でした。(令和4年度末) 過去50年以上は狂犬病の国内の発生はないといえ、海外では依然として発生数は多いのが現実です。 万が一の侵入に備え、ワクチンの接種が重要です。

【ワクチン接種】
ワクチン未接種だと、避難所に受け入れてもらえない場合があります。 また避難所生活では、犬や猫たちもストレスを感じやすく、免疫力が低下しがちになり、体調を崩しやすくなります。 病気の感染を防ぐためにも日ごろからワクチン接種を行いましょう。

【ノミダニ予防】
人や他の動物にも寄生し、アレルギー性皮膚炎など疾患を引き起こしたり、ノミダニから病気を媒介したりすることがあります。 避難所など人・動物が集まる場所で自分のペットがうつさない・うつされないように日頃の予防が必要です。

【避妊・去勢手術】
避妊・去勢手術は繁殖をコントロールするだけではありません。 病気の予防効果やストレスの軽減、問題行動の抑制といった面での有用性も報告されています。 そのため、繁殖の予定がない場合には避妊・去勢手術を検討しましょう。 避妊・去勢手術を行っていない犬・猫の場合は避難所収容の際には特に注意が必要です。ゲージなどを活用しましょう。 ペットの健康管理は、ペットとの安心で健康な生活を送る上で、とても大切なことです。 防災の意識が高まっている中、今一度ペットの健康管理を見直しましょう。

5.避難グッズ

災害時すぐ避難できるように日頃から準備しておきましょう。今回は、健康や命に係わる優先順位の高いものをご紹介します。

・食料や水(少なくとも5日分)
日頃から備えられるドライフードに慣らしておくよいです。 災害時は手に入れることが困難な常備薬や療法食も準備しましょう。

・リード、ゲージ(クレート)、キャリーバッグなど
リードを付けるだけでは、パニック時に犬が逃走する恐れがあります。なるべくゲージでの持ち運びが安全です。 避難所でも周囲への配慮もでき、ペットも落ちついて過ごすことができます。

・トイレ用品 ペットシーツや猫砂、ごみ袋など

・毛布、ケア用品(ブラシなど)など、余裕があれば、持って行きましょう。

その他、避難用品の詳しい例は環境省の 「人とペットの災害対策ガイドライン」p.19 ペット用の避難用品や備蓄品の確保、でご確認ください。

6.避難場所の確認

飼い主である被災者の心のケアからも災害時はペットの同行避難が推奨されています。 ペットと同行避難がスムーズにできるよう日ごろから各市町村のホームページで、避難場所の確認をしましょう。 情報は常にアップデートされます。定期的に最新の情報を入手し、もしもの事態に備えましょう。

避難場所によっては、ペット同行・同伴避難が不可な場合があります。 市町村によってはペット同行・同伴避難が可能か記載されていないこともあります。 各市町村からの確かな情報を入手するとともに、ペットホテル(人間用ホテルでも可)に問い合わせ、 非常時のペットの受け入れ方針を確認しておくことも一つの手です。 非常時の備えとして、動物病院とあわせてリストアップするのも良いでしょう。

・西宮市
ペット(動物)のための防災|西宮市ホームページ
指定避難所ペットスペース設置状況一覧表 令和5年度調査【確定版】

・神戸市
神戸市:ペットの防災対策
神戸市:災害時の避難所

・宝塚市
ペット動物の防災対策|宝塚市公式ホームページ
宝塚市避難所・避難地等一覧|宝塚市公式ホームページ

・伊丹市
災害に備えよう!9月1日は「防災の日」/伊丹市

・芦屋市
芦屋市/ペットのための防災対策
芦屋市/防災情報マップ

・尼崎市
突然の災害に備えましょう|尼崎市公式ホームページ
指定避難場所|尼崎市公式ホームページ

PFLJでは災害時、施設での活動に支障がない場合、 ペットの避難・保護シェルターとして運営することを想定しています。 ワクチン・狂犬病予防接種、ノミダニ予防の投薬など健康管理されていると万が一でもスムーズに保護・お預かりできます。

参考:
American Veterinary Medical Foundation 「Microchipping FAQ
環境省「動物の愛護及び管理に関する法律に基づく犬と猫のマイクロチップ情報登録
環境省「災害、あなたとペットは大丈夫?人とペットの災害対策 ガイドライン〈一般飼い主編〉
厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について
厚生労働省「狂犬病
厚生労働省「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和4年度)